HRDナレッジ

HRD 用語集

2023.08.29
人的資源開発のみならず、株式や証券、ビジネスを知る上で欠かすことのできない諸用語や情報を網羅しています。ハートアンドブレインのHRDナレッジではこれらの用語が頻出し、また世界の経済情勢や日本の強みを知る上で非常に有用な知識になるでしょう。一部を掲載していますので是非ご活用ください。

セールス・イネーブルメント

セールス・イネーブルメント(Sales Enablement)は、セールスプロセスを最適化し、組織内のセールスチームが効果的に仕事を行い、顧客との関係を築き、成果を上げるための戦略的な取り組みです。

セールス・イネーブルメントの主な目標は、セールスチームの生産性を向上させ、売上を増加させることです。組織が適切なリソースとサポートを提供し、セールスチームが顧客とより価値ある関係を築けるようにすることで、成功を促進する役割を果たします。

顧客体験(CX)を向上させるためにセールスプロセスを最適化し、セールスチームの人材開発を行い、彼らが必要な情報・ツール・リソースにアクセスできるようにすることはセールス・イネーブルメント成功のための重要なプロセスです。

セールス・イネーブルメントは、以下のような要素から成り立っています:

  1. トレーニングと教育: セールスチームに製品やサービスの知識を提供し、効果的な販売トークや顧客へのアプローチ方法を教えること。
  2. コンテンツとツール: セールスプロセスの異なる段階で必要なコンテンツ(プレゼンテーション、カスタマーケーススタディ、資料など)やツール(CRMシステム、プロスペクティングツールなど)を提供すること。
  3. プロセスの最適化: セールスプロセスを分析し、改善点を見つけてプロセスを効率化すること。また、セールスチームの活動をトラッキングし、データに基づいた意思決定を行うことも含まれます。
  4. コミュニケーションと協力: セールスチームと他の部門(マーケティング、プロダクト開発、カスタマーサポートなど)とのコミュニケーションを促進し、連携を図ること。
  5. テクノロジーサポート: セールスプロセスを支援するためのテクノロジーやツールを提供し、セールスチームがより効果的に作業できるようにすること。

 

統合報告書

統合報告書(Integrated Report)は、企業や組織が、財務情報だけでなく、持続可能性(サステナビリティ)や経営戦略、リスク管理、ガバナンス(統治)などの情報を総合的にまとめて発信する報告書のことを指します。従来の財務報告書(財務諸表)が主に財務面の情報を提供するのに対し、統合報告書はより広範な情報を含んでいるため、「総合報告書」とも呼ばれることがあります。

統合報告書の特徴は以下のとおりです:

  1. 総合的な情報提供: 財務情報だけでなく、企業の経営戦略、持続可能性への取り組み、社会的責任、環境への影響、リスク管理、ガバナンス構造など、幅広い情報を提供します。
  2. ステークホルダーへの配慮: 投資家や顧客、従業員、取引先、地域社会など、企業に関連するさまざまな利害関係者(ステークホルダー)のニーズや関心に応える情報を提供します。
  3. 長期的視点: 統合報告書は通常、長期的なビジョンや目標に関する情報を含むため、企業の長期的な成長戦略を示す手段となります。
  4. 透明性と信頼性: 統合報告書は企業の透明性と信頼性を高めることを目指しており、様々な情報をオープンに提供することで、ステークホルダーとの信頼関係を築く手助けとなります。

統合報告書は、企業が単なる利益だけでなく、環境や社会に与える影響、長期的な戦略、ステークホルダーとの関係を考慮しながら経営を行う姿勢を示す重要なコミュニケーションツールとなっています。国や業界によって異なる要件やガイドラインが存在することもありますが、持続可能性に関する関心が高まる中で、統合報告書の重要性は増しています。

 

PBR(Price Book-value Ratio)

PBRは、株価純資産倍率とも呼ばれ、株価を企業の純資産で割った比率を示す指標です。これは、企業の株式の市場価格と、その企業の純資産(資産から負債を差し引いた値)の関係を表すものです。PBRは、投資家が企業の株価がその実態に比べて適正かどうかを評価する際に使われることがあります。

PBRの計算式は次の通りです:

PBR= 株価/純資産

ここで、「株価」は企業の株式の市場価格を指し、「純資産」は企業の資産合計から負債合計を差し引いた額を指します。PBRが1を下回る場合、株価が企業の純資産(≒解散価値)に対して割安であると解釈されることがあります。

ただし、PBRだけで企業の評価を判断することは限定的です。PBRは特定の業界や企業の特性によって異なるため、比較対象としての使用に注意が必要です。例えば、テクノロジー企業や成長産業では、PBRが高いことが見られることがあります。また、PBRは企業の将来の成長性や収益力を考慮していないため、他の財務指標と併用して分析することが推奨されます。

なお、PBRとPER(株価収益率)、ROE(自己資本利益率)の間には、PBR=PER×ROEの関係があります。PBRを向上させるためには、市場からみた成長力の改善(PER↑)と利益率を高めかつ資本構成を最適化する(ROE↑)両方の戦略が必要です。

 

PER(Price Earning Ratio)

>PER(Price-to-Earnings Ratio)は、株価収益率とも呼ばれ、企業の株価を1株当たりの利益(収益)で割った比率を示す指標です。これは、企業の株価がその企業の利益に対してどれだけの倍率で取引されているかを示すものです。PERは、投資家が株式の評価を行う際に広く用いられる指標の一つです。

PERの計算式は次の通りです:

PER=株価/1株当たりの利益

ここで、「株価」は企業の株式の市場価格を指し、「1株当たりの利益」は企業の税引後利益を発行済み株式数で割った値を指します。通常は、一株当たり利益の今期予想の数値を使います。PERの値が高い場合、株価が企業の利益に対して割高であると解釈されることがあります。逆に、PERが低い場合、株価が利益に対して割安である可能性があると見なされることがあります。

ただし、PERもPBRと同様に、単体では企業の評価を判断するのに十分ではありません。異なる業種や企業の特性によってPERの適切な範囲が異なるため、同業他社との比較を行うことが重要です。

 

ROE(自己資本利益率)

ROE(Return on Equity)は、自己資本利益率とも呼ばれ、企業の収益性を評価するための指標の一つです。ROEは、企業の純利益を自己資本で割った比率を示します。自己資本は、企業の資産から負債を差し引いた額を指します。

ROEの計算式は次の通りです:

ROE=純利益/自己資本

ここで、「純利益」は企業の利益から償却費や税金を差し引いたものを指し、「自己資本」は企業の資産合計から負債合計を差し引いた額を指します。

ROEは、企業が自己資本をどれだけ効率的に活用して利益を上げているかを示す指標です。高いROEは、企業が収益を最大化するために自己資本を効果的に活用していることを示し、投資家にとって魅力的な要因となる場合があります。一方で、ROEが低い場合は、自己資本の効率的な活用が課題とされることがあります。

ROEの解釈には注意が必要で、業界や企業の特性によって適切なROEの範囲が異なる場合があります。また、ROEは単に収益性だけを評価するものではなく、企業の経営戦略や資本構造、リスクプロファイルなども考慮して総合的な分析が求められます。

ROE(自己資本/純利益)は売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジの3要素に分解することができます。

ROE=純利益/売上高 × 売上高/総資産 × 総資産/自己資本

この3つの数値を向上させることでROEを高めることができます。

(例として、利益率の低い事業をやめる、持ち合い株や遊休不動産等の資産を減らす、負債を増やす、自社株買いで自己資本を減らす等)

 

人的資本

人的資本(Human Capital)は、経済学や組織論で使用されていた概念で、人間の能力、知識、スキル、経験、教育、トレーニングなど、個人が持つ仕事や生産活動における価値を指します。人的資本は、人々が経済活動や労働市場において持つ資源であり、企業や組織の成功や経済成長に影響を与える重要な要素とされています。

人的資本は、以下のような要素から成り立っています:

  1. 知識とスキル: 個人が持つ専門知識、職業スキル、技術、能力などが含まれます。これらは仕事の遂行や生産活動において価値を生み出す要素となります。
  2. 教育とトレーニング: 高等教育や専門トレーニングを受けることで獲得される知識やスキルが、人的資本の一部です。教育は人々の労働市場における適応性や能力を向上させる役割を果たします。
  3. 経験と専門知識: 実務経験や特定の産業や職種における知識は、人的資本の成長に影響を与えます。経験を通じて得られる洞察や専門性は、企業や組織にとって重要です。

人的資本の適切な育成と管理は、企業や組織の競争力や成長に大きな影響を与える要因です。教育やトレーニングの投資、適切な組織文化の構築、人材の育成プログラムの設計な

どが、人的資本を最大限に活用する手段となります。また、人的資本の向上が社会全体の経済的な発展や持続可能な成長にも寄与するとされています。

 

人的資本経営

人的資本経営(Human Capital Management、HCM)は、組織が従業員の能力、知識、スキル、モチベーションなどを最大限に活用し、組織の目標達成や成果向上を促進するための経営手法や戦略のことを指します。人的資本経営は、従業員を単なる労働力として捉えるのではなく、組織の重要な資産と位置付け、戦略的に管理・活用する考え方です。

人的資本経営には以下の要素が含まれます:

  1. 採用と選抜: 適切なスキルや特性を持つ人材を採用し、組織に適切に配置することが重要です。採用過程や選抜の際には、組織の文化や目標と一致する人材を見極めることが求められます。
  2. 育成とトレーニング: 従業員のスキルや能力を向上させるための教育やトレーニングプログラムを提供します。これにより、従業員は成長し、組織にとって価値ある貢献者となることが期待されます。
  3. 評価と報酬: 従業員の業績や成果を評価し、適切な報酬や評価を提供することで、モチベーションや働きがいを向上させます。
  4. キャリア開発: 従業員のキャリアパスを支援し、成長機会や昇進の機会を提供します。従業員の成長は組織の成長にも貢献する重要な要素です。
  5. エンゲージメントと満足度: 従業員のエンゲージメント(関与度)を高め、満足度を向上させるための取り組みが含まれます。従業員が組織に対してポジティブな意識や情熱を持つことは、生産性や組織の健全な機能に影響を及ぼします。

人的資本経営は、組織の成果や競争力に大きな影響を与えるため、戦略的かつ継続的な取り組みが求められます。従業員の満足度やエンゲージメントの向上は、組織の持続可能な成功に貢献する要因とされています。

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